2006年02月04日

山の上の交響楽/中井紀夫

  三ヶ月先に難所が迫っていた。
  難所中の難所だと、楽団員たちは囁きあっている。
  神業に等しい超絶技巧を要求されるので、バイオリニストは発狂してしまう。
  ピアニストは指が蝶結びになってしまう。
  管楽器奏者は狼男になってしまう。その他その他、その種の話には事欠かない。
  八百人楽章。
  難所はそう呼ばれていた。



こんな出だしのSF短編小説。すごいでしょ。
東小路耕次郎が書き残したこの交響曲、すべての楽章を演奏するのに1万年もかかるそうで。
8つのオケと指揮者が毎日24時間かわるがわる一度も途切れることなく演奏し続けて、やっと200年が過ぎたところなのです。
これから迎える八百人楽章とは、その名の通りすべてのオケの楽団員が必要とされる楽章。
だから練習もゲネプロもできない。ぶっつけ本番。
それなのに、次々と難題が押し寄せる。事務局も楽団員も楽器製作職人もてんてこ舞い。

奇想天外で壮大な設定にあれあれとたじろぎつつも、楽団員各々のキャラクターが豊かでどこかリアリティーが感じられる。(笑)
物語にすーっと入って、あっという間に読んでしまった。 
1988年星雲賞受賞作品、他5編。

山の上の交響楽
山の上の交響楽中井 紀夫

おすすめ平均
starsSFの形をした作品論
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作曲家の皆様、お願いだからマネしようと思わないでください。。。
posted by どみ at 23:59| 埼玉 ☁| Comment(9) | TrackBack(0) | クラシック音楽の本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
大変だ、うちのオケの次の担当は来週の火曜日だっけ。
練習しなきゃ。

どみさんは次はいつ?
Posted by にのじ@ばよりん at 2006年02月05日 01:17
 面白そう!読んでみたいな。
Posted by 左近 at 2006年02月05日 01:41
にのじ@ばよりんさん。
えーと、確か200年先からローテに加わると聞いたような聞かなかったような……。



左近さん。
気軽に読める内容です。
「山の上の〜」というタイトルですが、山頂の奏楽堂で、という意味です。
私は実写で見たくなりましたです。
Posted by どみ at 2006年02月05日 20:55
「山の上の交響楽」ですだかぁ
文化祭直前のお祭り騒ぎの中で右往左往的な印象がありますだが…他の本と勘違いしてますだかねぇ?

音楽+SFというとオーソン・スコット・カードの「無伴奏ソナタ」の印象が強いのですだが今日は井福部昭にひたっていますだ。゚(゚´Д`゚)゚。

Posted by おる at 2006年02月09日 23:11
おるさん。
お読みになったのですだね。でも文化祭は出てこないですだよ。って文がおかしいですだか?(笑)
指揮者の空岡陽光、写譜のシャフ寺なんかが出てきますだ。思い出しました?

井福部氏といえばゴジラですだね。
ちょっと音が揺れている古い録音がまたいい味を出していましただよ。
Posted by どみ at 2006年02月10日 02:14
言葉が足りなかったですだね。
文化祭直前を思わせるお祭り騒ぎですだ。

完奏までに時間がかかる曲ならトリビアの常連のジョンケージのこんなのもありますだ。
http://x51.org/x/06/01/0603.php
Posted by おる at 2006年02月11日 00:03
おるさん。
おはようございます。開会式観戦中です。

ジョン・ケージねぇ。いろいろやってくれるよねぇ。
彼が偉大な芸術家であっただけに、若い作曲家や作曲家のタマゴたちが彼をマネしたがるんです。
その度に我々プレーヤーは困らされるのですよ。チェロの弓でギターを弾けと言われてもできません!

オーソン・スコット・カード「無伴奏ソナタ」、覚えておこう。。。
Posted by どみ at 2006年02月11日 05:00
ケージは音楽で食える様になるまではきのこ研究で有名だったらしいですだね。
辞書でmusicの一つ前がmushroomだったからという理由らしいですだ
ケージの模倣をするならそういう処こそを模倣して欲しいものですだ。
手許の辞書によると音楽の次は麝香(musk)ですだので、若い作曲家や作曲家のタマゴ(有精卵)はがんばって欲しいものですだ(無責任)。

調べてみたら「無伴奏ソナタ」の初版は20年前なのですだねぇ、道理で最近見かけない訳ですだ。
最近の音楽SFの定番は高野史緒あたりと思うですだが買うだけ買って放置状態なので実際の処はわからんのですだ。
Posted by おる at 2006年02月11日 14:27
おるさん。
音楽の次がmuskなら、若い作曲家氏が食えなくなって家業店じまいした後には麝香屋でもやってほしいですな。(笑)
Posted by どみ at 2006年02月12日 00:11
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