2005年08月09日

カザルスへの旅/伊勢英子

絵描きでアマチュアチェリスト、伊勢英子さんのエッセイ。(ご本人はカザルスの孫弟子にあたるそう。)
スケッチブックを片手に、自分探しの手作りの旅の記録です。
平和と愛のためにしか弓を持たなかったカザルスの足跡を、スペインに訪ねる旅。
自分が何なのか見つけたいと、大学院を休学して誰からも援助を受けずに一人でパリに暮らす話。
“セロ”弾きだった宮沢賢治の心の修羅に惹かれ、東北へ。
生まれ育った北国の原風景、“はこだて幻想”。

私は安定ということばを嫌う。 −(略)− 常に何かと戦っている状態というのが、自分にとって最も好ましい状態であった。欲しいものを全て手に入れた状態−それが目に見えるものであればあるほど−というのは、私には耐えがたい状態であった。(本文より引用)

これは今の私に、欠如している感情だと思います。(笑)
常に追求することが必要な「芸術」に携わる者には、常に自分を追い込む状態、そしてそれを過度のストレスとしない心の在り方が必要かと。スポーツにおいても然り。
だからこそ、この本は私には必要。気持ちにアイロンをかけるような、とても大切な本です。

4122028701カザルスへの旅
伊勢 英子

中央公論社 1997-05
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ご自身が書かれた繊細なタッチの挿絵が、文章に優しく寄り添っています。

posted by どみ at 23:59| 埼玉 ☁| Comment(4) | TrackBack(0) | クラシック音楽の本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
ああ、この本を手に取ってくださってありがとうございます。
当時この出版社で働いてました。
元の本は子ども向けのラインナップだったそうですが、
これはどう考えても大人の女性に読んでほしい、と
編集者が言っていたのを思い出します。
Posted by でじまま at 2005年08月14日 06:33
うわぁ…。(感嘆)
「スカイ・クロラ」の時もそうでしたね。
またまたブログやってて良かったと思いました。(笑)

初めて読んだのは「グレイ」のシリーズで(犬の絵がかわいかったから、という理由だけなんですが)、それ以来伊勢英子さんという個人に興味を持って、選んだ本がこれです。
そうだ、女性の生き方に興味を持ったのはこの本が初めてかもしれない。
私も伊勢さんみたいに、一人で遠くに出かけてみようと思ってます。(感化されました。笑)
Posted by どみ at 2005年08月14日 22:35
始めましてアランと言います。
伊勢さんを検索していて辿り着きました。『カザルスの旅』が書かれていたので思わず書き込んでしまいました。
 『カザルスの旅』何度読んでも何か大切なものに気付きます。伊勢さんは柳田邦男さんと共著で『はじまりの記憶』という本も出しています。
 『カザルスの旅』が心に残られたなら是非手にとってみて下さい。本当に大切な言葉が溢れていますから…。
Posted by アラン at 2005年08月15日 08:53
アランさん、コメントありがとうございます。

 >前ばかり見ているとふと何も見えなくなる時がある
アランさんの『はじまりの記憶』の紹介文を読んで、この本も読んでみようと思いました。
私はどちらかというと後ろ向きの人間なのですけど。(笑)

アランさんのページは落ち着いてとても雰囲気が良いですね。
いったいお幾つのかたなんだろうと思ったら、私よりも若いので(!)、びっくりと同時にため息が出ました(笑)。またお邪魔します。
Posted by どみ at 2005年08月15日 23:35
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