2005年08月23日

紅いタキシード/山本直純

岩城宏之の「森のうた」を読んだら、相棒が書いた本も読みたくなるわけで。
波乱万丈の音楽人生が、豊富なエピソードと共に綴られた自伝的エッセイ。

私の母はよく「大きいことはいいことだ」と言いながら、小学生だった私にワンサイズ大きな洋服を買ったり作ったりしていた。
だから「大きいことはいいことだ」は母の口癖とばかり思っていたのだ、この本を読むまでは!
クラシック音楽にちっとも興味のない母でさえこの名言を口にするところに、直純さんがどんな仕事をしてきたかがわかるようだ。

「お前は世界の頂点をめざせ。俺は日本で底辺を広げる」
若き頃小澤征爾にこう語ったことは、小澤氏の本「ボクの音楽武者修行」にも書かれている。
直純さんはまさに、それを地で行った人だと思う。
急成長を遂げていたテレビ・メディアの流れを作曲・指揮で牽引した仕事人。
テレビ番組にも多数出演して、クラシック音楽の大衆化に力を注いだ音楽家。
「オーケストラがやってきた」、見たかったな。

「森のうた」を日本の近代オーケストラ史とするなら、この本はそこに放送史、映画史をも巻き込んだ一大メディア史になりそうだ。(劇伴音楽、なんて時代ですよ!)
「男はつらいよ」「いちねんせいになったら」「小沢昭一の小沢昭一的こころ」音楽はみーんな直純さん発だったのだ。
しかし私は、「山本直純作曲」として世に知られているのはほんの一部で、実際ゴーストライター的な作品や師匠のカバン持ちとしての“隠れ作品”もたくさんあるに違いないと思っている。
直純さんが高い所から「実はあの曲、オレ書いたんだよ」と言いたくてうずうずしているかもしれない。(逆に、あれはオレ書いたんじゃねぇよ、というのもあるだろな。笑)
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山本 直純

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オケのベテラン奏者が「昔ナオズミがね…」と、そのおもしろおかしい天衣無縫な振る舞いを話してくれたことがある。いい話ばかりではなかったのが直純さんらしいところかな。(笑)
posted by どみ at 23:59| 埼玉 ☔| Comment(3) | TrackBack(0) | クラシック音楽の本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
「大きい事はいいことだ!」というのは、昔コマーシャルでやってて、小学生の頃(つまり大昔)とても流行ってました。確かチョコレートかなんかのCMだったと思いましたが…。
それにしてもあのおじさんが作曲家だとはだいぶ後になるまで知りませんでした(^^;。

直純さんというと、私としては「オーケストラがやってきた」と結びつきます。いや、実はあのJ.Strauss IIの常動曲もしばらくの間、山本直純氏の曲だと思ってました(笑)。ともあれ、インパクトのある方でした。
Posted by くあい at 2005年08月24日 07:50
そうかぁ、どみさんの世代は観たことがないんですね>「オーケストラがやってきた」
私もくあいさんと同じで、常動曲とあの番組は切っても切れません。ホルンの旋律を
聴くと ♪オーケストラがーやってきたー と唄っちゃいます。

ナオズミさんの本では、「オーケストラがやってきた」がとても好きでしたが、
今でも手に入るのかな? 「紅いタキシード」も読んでみたいです。

それにしても、一昔前は各局でクラシック入門番組をたくさんやっていたのに、
今生き残ってるのは「題名のない音楽会21」と「N響アワー」ぐらいですか。
なんだかさびしいですね。
Posted by でじまま at 2005年08月24日 11:01
くあいさん。

 >インパクトのある方でした。

えぇ、文中の写真からそのように見てとれます…。
タキシードは金銀赤青黄色ラメラメ、何色もお持ちだったそうで。
文庫で出ている「オーケストラがやって来た」を読みたくなりました。
チェリストの山本裕ノ介さんのパパと知って、またびっくりしました…(笑)。


でじままさん。

「オーケストラがやってきた」がいかにスゴイ番組だったかは岩城氏&小澤氏の本にも書かれてたように思うのですが、テレビで見た記憶はないですねぇ…。(私は70年代後半生まれです。)
いち指揮者としての直純氏の名前は知りつつも、その仕事ぶりはお亡くなりになってから知りました…。^^;

各局で!クラシック入門番組を!たくさん!!な時代があったのですねぇ…。
「のだめカンタービレ」にも、もっと頑張ってもらわないと!
Posted by どみ at 2005年08月24日 22:11
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