2005年09月22日

どこか古典派(クラシック)/中村紘子

もし、世界一うまいカレーを作る人は誰かを決めるコンクール(国際カレー調理コンクールとでも言おうか)があったら、この方が作るカレーは間違いなく第一位特賞に輝くだろう。
あ、でも参加者として出場するわけないか。やっぱり審査員か。

日本を代表する現役ピアニストは中学3年で彗星のごとくデビューし、それ以来ずっとトップランナーだ。
国際コンクール審査員やコンクールそのものを育てることにも力を注いでおられる。
よくコンサート会場入り口で配られるチラシセットには必ず紘子さんの演奏会のものが入っているし、私が初めて親に買ってもらったピアノ曲は紘子さんの演奏だった。(そのカセットテープは今も大切にしている。伸びちゃっても。)

その魅力は、文章においても然り。
この本のオビには「言葉で奏でるとびきりの名演奏」とある。
演奏会やレコーディングのこと、友人のこと、日本と海外の文化のこと、愛犬・愛猫のことなど、この方ならではのエッセイ集。
その文章は柔軟だったり、時には強靭だったり、くすりと笑わせてチクリとやったりと、たくさんの魅力が様々な角度から見えてくるのだ。
それに視野の広さ、交遊関係の広さには驚く。

96年に東京都が文化施設(コンサートホール等)使用料の大幅値上げ案を提示した時は「値上げを許さない会」実行委員長として、読売新聞上で青島都知事や都議会相手に意見を述べている(本書収録)。
その骨太でゆるぎない文章に敬服して、当時その記事を切り抜いてしまった。

あとがきにはこうお書きになっている。
「思い切り自由きままに書いたつもりだったけれど、…(略)…まとめて眺めると結局はピアニストの領分を出ていないことに気づいておかしくなる。」


文武両道のスーパーレディである。

412204104Xどこか古典派(クラシック)
中村 紘子

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カレー食べたいなぁ。

posted by どみ at 23:59| 埼玉 ☁| Comment(4) | TrackBack(0) | クラシック音楽の本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
ずいぶん昔、氏のリハーサルに遭遇した(と言ってももちろん野次馬ですが....)時、調律のやり直しの要求を目の当たりにして感動しました(ジィ〜ン)。
Posted by yamamoto2000 at 2005年09月23日 19:09
やり直しですか…。「F1レースとピアノ」というタイトルで、調律のことがこの本に収録されてますよ。
メンテナンスがよくされていないピアノを無理して弾いて、肩に肉離れを起こした、とあります。
そんなことが!あるのですねぇ。
Posted by どみ at 2005年09月24日 02:19
この方の著書は全部持ってます。
本当にすばらしい文才の持ち主ですよね。センスのある方ってのは何をさせてもできちゃうんですかねえ。
以前NHKで彼女のリサイタルの模様を見たとき、ffの部分で椅子から飛び上がってドーンって打鍵する様に圧倒された覚えがあります(笑)
Posted by なお at 2005年09月24日 22:49
おぉ〜全部ですか!
確かに全部読みたくなりますよ。私は図書館で何冊か借りて読んだのですが、持っているのはこの1冊だけです。
次は「コンクールでお会いしましょう―名演に飽きた時代の原点」を読んでみたいです。飽きたと言えるのはこの方ならではですよねぇ。^^;
そろそろショパンコンクールが始まりますね。
Posted by どみ at 2005年09月25日 00:42
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